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イガラシイッセイです。無口の反動は日記に表れます。
by polisan
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CHOP-ME-NOT DIARY
アンテナ感度をあげて、あげて
アンテナ感度をあげて、あげて_d0018714_1451670.jpg

金曜日。会社帰りにラーメンを食べているとしいなからメールが来た。これから恵比寿で飲むから来てくれ、という内容だった。私は最近の体調と翌日の活動のことを考えて一瞬躊躇したが、注文したばかりの替え玉(かため)を胃袋の掻きこんで早足で駅に向かった。

恵比寿に到着しピーコックの上の居酒屋に入ると、しいなと女性がすでに飲んでいた。女性はなぁぽんさんといった。しいなとtwitter上で飲みましょうという話になり急きょ集まったという。私はもちろんのこと、しいなも初対面だった。彼女はリアル桃鉄経由で我々を知り、すでに1年以上ブログの読者であったらしい。

なぁぽんさんはとても話題が豊富な人だった。いろいろな人、いろいろな本、いろいろとしたこと・見たことの話がポンポンと飛び出し、その内容も面白い。普段から常にアンテナを全開にして様々な情報を吸収し消化しているようだった。私は彼女としいなの会話に耳を傾け、心底素晴らしいと思い、また心底うらやましいと思った。

私はインドから帰ってきて、ちょうどアンテナの感度が悪かったなと少し後悔しているところだったのだ。


アンテナ感度をあげて、あげて_d0018714_242083.jpg

インドに行ったら行ったで何かしら得るものがあるだろう、と私は準備をほとんどしなった。インドの歴史や文化についても予習をしなかった。しかし「ぼられる」「だまされる」「おなかを壊す」といったネガティブ情報にはやたらと縁があり、必要以上に警戒をしてしまった。そのため滞在中は気が休まらず、やっと穏やかな気持ちで思い切り空気を吸えたのは、最終日、帰国当日のデリーへの途上だった。

ジャイプルからデリーへは車でハイウェイを走った。その間見えていたのはほとんど砂と岩だけだった。ときおり放牧されている羊を見かけた。ラクダもいた。しかしほとんどが砂と岩だった。その砂と岩の世界を、私の神経は感じていなかった。車の中は快適で、窓の外に広がる景色は触ることのできない「画面の向こう」のような感覚だった。これでは家のテレビで見るのと一緒だ。

そのことに気付いたのは、ジャイプルとデリーの丁度中間点に位置するレストランで昼食をとるために車を降りた時だった。

空気は乾燥し、日差しは強かった。空気が乾燥し、日差しが強いということを、感じた。そしてジャイプルからここまではつらくて流石に歩けないだろうな、と思った。そう思った時が初めて、インドで「距離」を私のアンテナが捉えた瞬間だった。

飛行機の中でも寝台列車の中でも、基本的に私は寝ていた。室内の温度は常に一定に保たれ、外の景色はよく見えず時間は経てども移動しているという実感がなかった。ところがこのレストランでは、見てきた車窓と降り立った世界が一致し、通ってきた道、これから通る道、果てしなく続く砂と岩、空気と日差し、それらがリアルに私の感覚に入り込んできた。はるばる、ここへやってきたのだ。やっと私はそれを知った。

そしてこの日までインドで見てきたことは、きちんとインドであると理解して記憶に刻み込まれたかが怪しいと感じた。すべてが作られた「インド体験」というアトラクションで遊んだだけではないか、という印象に変わってしまった。インドをインドとして感じるほど私のアンテナが機能していなかった。それは後悔するには十分だった。


アンテナ感度をあげて、あげて_d0018714_23748100.jpg

日本に帰ってからインドのことを聞かれたとき、実際に起こった出来事については語れるだろう。しかしそこでどう感じたか、何を考えたか、どんなことと結びつけたか、そういうことはあまり語れないかもしれない。そしてその予想は概ね当たっている。アンテナの感度が低く、思い切った行動も取れなかった。もっと物売りから物を買い、ガイドにたくさんの質問をぶつければよかった。もっと貪欲に、好奇心を持ってあらゆることを血肉にしたかった。そういう感情が今、渦を巻いて小暴れしている。


いずれリベンジを果たそう。きっと。
by polisan | 2009-10-25 02:42 | 日記
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