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CHOP-ME-NOT DIARY▲
先日中国青海省で大きな地震がありましたね。被害に遭われた方々のことを思って心を痛めると共に、ハイチ・チリから続く大地震に次はどこかと気が気ではありません。
それと今回の青海省は個人的に感じるものがありました。というのも、地震の前日の夜の丁度その地方を舞台にした映画(DVD)を観ていたからです。 これはチベットカモシカの密猟者(毛皮を売る)とそれを取り締まる山岳パトロールの攻防を描いた作品で、観ようと思った動機はチベットの高原の美しくも過酷な自然を映像として観たかったというものでしたが、観て認識を改めました。過酷なんてものではありませんでした。なんという世界だ……。 密猟者を追うパトロール隊なので公的な組織かと思いきや、私的かつ完全に自費で隊員の給料も払えず、装備も満足に揃えられず、ぼろぼろの普段着で見回りを行います。監視所には一人の隊員が孤独に何年も常駐します。 対する密猟者は生活に困った人々で、毛皮を売ってボロモウケというわけでもなく必死に生きているだけです。カモシカを撃つために銃を持っていますが、それはパトロール隊に向ける武器にもなります。もちろんパトロール隊も対抗するための銃を持っています。撃ち合えば、そこだけを見ると戦争となんら変わりがありません。 そしてチベットの高原の自然。きちんと道路が整備されていることはなく、凍った湖を渡ったり吹雪く山を歩いたり、荒野にも流砂があって飲まれたらそれで終わりです。車がガス欠になったり故障したりして立ち往生すれば絶望です。常に帰れる保証はありません。死と隣り合わせ、というより死に片足を突っ込んでいて、パトロール隊を送りだす家族も泣いて別れを惜しむのです。 DVDのコピーには「命をかけて闘う男たち」とありました。 誇張は一切ありませんでした。 ではなぜそこまでして密猟者からカモシカを守ろうとするのでしょうか。単なる環境保護という正義感だけでそこまでできるでしょうか。パトロール隊はチベット族であり、ココシリはチベット族にとって特別な土地だから守らなければならないのかもしれません。しかしそのような誇りや責任感だとしても、資金がなくどうしようもない時に隊長のリータイがとった行動を見てしまうと、無常感を振り払うことはできません。信念を貫くことの難しさ、いや、信念を貫きつつ生き抜くことの難しさというものを考えずにはいられません。観終わった後、歯を食いしばっていたために顎が付かれていることに気付きました。 ちなみにこの映画は実話をもとにしているそうです。その厳しい生活も現実のものとして考えた時、そこで大地震が起こりインフラがずたずたになったことを想像すると……。ああもうなんでしょうね。大都会トーキョーで感じている閉そく感は、引きこもりが実家でくだをまいている程度のものなんじゃないかと思えてきます。 この映画、おすすめです。
by polisan
| 2010-04-17 13:04
| 映画
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