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CHOP-ME-NOT DIARY▲
山梨のお土産といえば桔梗信玄餅ですよね。僕は山梨とは何の縁もありませんが、それでも年に一回以上は誰かからもらって食べています。おいしいのはもちろん、袋やビニールの風呂敷といったパッケージもなんか味わいがあっていいです。
で、そんな信玄餅ですが、食べる時にきな粉がこぼれてしまって困るという方がいらっしゃるかと思われます。信玄餅はきな粉をこぼしてなんぼ、と言われるかもしれませんが、今日はあえてわざわざ写真入できな粉をこぼさずに食べるさまを見ていただきたいと思います。参考にしてください。 ![]() まず中敷を外した初期状態です。中敷とは透明のフタのことです。きな粉の中央が凹んでいるので、ついここに黒蜜を流し込みたくなりますが、そこは巧妙に張り巡らされたワナです。信玄公に謀られてはいけません。とりあえず外壁を切り崩すところから始めましょうか。 ![]() 楊枝で固まったきな粉を細かく粉砕します。乱暴にやると飛び散りますので、花を愛でるようなやさしい楊枝捌きで、かつ容赦なく粉砕してください。本気で怒っている時ほど口調が丁寧になる、あの感じです。集中力を切らさないように。 ![]() 粉砕にはキリがありませんので、適当なところで次の工程に移ります。次は楊枝で餅と器の間に隙間を作り、そこにきな粉を落とし込む作業です。ちょい、と餅を動かすと、きな粉が空いたスペースに勝手に飲み込まれていくと思います。これを全方位余すことなく行い、餅の上からきな粉を排除し、風通しのよいフラットな環境を作り上げるのです。 ![]() 表面からきな粉を排除するとこうなります。3切れの餅が丸裸にされました。ここでやっと黒蜜の出番です。どろっとした黒蜜を、やわらかな餅の上にゆっくりと垂れ流しましょう。 ![]() 黒蜜は餅の表面、餅と餅の密着部分を伝いながら、徐々に器に満ちていきます。ここで一番注意しなくてはならない点は、残り少なくなった黒蜜の容器を強く押さないことです。全ての黒蜜を出し切ろうと容器を握りつぶしたりすると、ぼふっ、と容器の中の空気が押し出されて、餅の表面にかすかに残ったきな粉を吹き飛ばす恐れがあります。これを「黒蜜の吐息」と呼び、地元山梨の熟練信玄餅イーターの間では最も恥ずべき行為として忌避されています(さすがにウソです)。 ![]() 黒蜜を出し終えたらあとは混ぜるだけです。底にたまったきな粉と黒蜜を混ぜ合わせながら、楊枝を上手く使って餅に絡ませていきます。3切れの餅はバラバラのように見えて、実は底のほうでこっそり繋がっていたりしますので、ついでにここでその悪しき呪縛を断ち切ってやりましょう。その方が奴らのためであり、無論あなたのためでもあります。 ![]() いい感じにまぶさったらようやく賞味の時間です。ご苦労様でした。しかし最後まで気を抜いてはいけません。黒蜜に蹂躙されきらなかったきな粉が最後の抵抗に出て、餅を持ち上げた際に一緒に飛び出してくる恐れがあるのです。餅の下側は見えませんので注意にも限界がありますが、リスクを最少に抑えるには、きな粉が飛んでも器の外に散りにくい真ん中の餅を最初に食べることです。これであなたは美味い餅と栄光を同時に噛み締めることができることでしょう。よかったですね。
by polisan
| 2005-05-11 02:01
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